【試写レビュー】”お決まり”の美学!シリーズ最新作「007 スペクター」を観てきた

 


Daniel Craig and Léa Seydoux in Metro-Goldwyn-Mayer Pictures/Columbia Pictures/EON Productions’ action adventure SPECTRE.

12月4日(金)よりTOHOシネマズ日劇ほか全国公開の「007 スペクター」を一足先に観てきた。
今年はリブートやら続編やら豊作だったけど、僕的には一番楽しみな作品だったのでこの上ない興奮ですよ!
以下、ネタバレはないので良かったら御覧くださいませ。

 

エンターテイメントに於けるリブートや続編のジレンマ


今年はリブートや続編が多いせいか、過去シリーズを知らないけど観に行ってハマった!みたいな人が多かった印象がある。あ、リブートって言葉最近聞くけどなんぞやって人もいるかと思いますが、簡単にいえば《仕切り直し》。基本的な骨組みは一緒だけど登場人物の設定を変えたりとか、現代に合わせて時代設定を変えたりとか。パラレルワールドみたいな。

今期のアニメだと「おそ松さん」なんてそうだし、少し前やってたドラマ「デスノート」なんかもそう。今年の映画だと「ターミネーター:新起動/ジェニシス」とか「ファンタスティック・フォー」なんかがリブートにあたるかと。8回以上の劇場観賞者や立川シネマシティに爆音上映機材を導入させて大盛り上がりだった「マッドマックス 怒りのデス・ロード」も主人公の人物背景は引き継いで、物語自体は前3作品まったく関係ないので半ばリブートみたいなものだった。

リブートや続編モノに於いて切っても切れない製作者にとってのジレンマは、新しいファンの獲得従来のファンの期待に応えること。新規参入のハードルにならないようにタイトルにナンバリングをつけないというのもよくある。「ミッション:インポッシブル シリーズ」も4以降はつけてない。

さて、今回は、そんな受入れ風潮もあるので「007 スペクター」や「007シリーズ」に興味はあるけど今更感を感じてしまっている皆さんにも魅力をお伝え出来れば、と!なので、結構当たり前って思われるようなことも書いてます。

 

24作品目となる「007 スペクター」


とてつもなく初歩的なところだけど、「007」は「ダブルオーセブン」と読む(「ゼロゼロセブン」と読むこともある)。僕らの世代だとニンテンドー64で「ゴールデンアイ」がめちゃくちゃ流行ってトイレに籠もってる奴らを黄金銃で狩りに行くみたいなこと(分かる人には分かる)をやってたんだけど、映画自体は観たことないって人が多かった。当時みんな「ゼロゼロセブン」って言ってたなあ。

Daniel Craig stars as James Bond in Metro-Goldwyn-Mayer Pictures/Columbia Pictures/EON Productions’ action adventure SPECTRE.

映画「007シリーズ」は今度公開の「007 スペクター」で24作目。1962年公開の「007 ドクター・ノオ」から続いていて、近年は3,4年置きに新作が公開されていて、原作はイギリスの作家イアン・フレミングのスパイ小説「ジェームズ・ボンド シリーズ」。これだけシリーズが続いていると敬遠しがちだけど、基本的に過去作品を知らなくても大丈夫です

 

今更聞けないけど、ここを知っておくと楽しめる要素


「007 シリーズ」には《定番(お決まり)の要素》がいっぱい。
でも、別にシリーズを順番通りに観なければ楽しめないみたいなところはあまりないんです。
以下のシリーズお決まり要素を知っておくおくとどこからでも入りやすく楽しめるかと。

1)ジェームズ・ボンドという男

ジェームズ・ボンドはイギリス秘密情報部(MI6)の工作官であり、シリーズの主人公の名前。そして、007とは彼に与えられた「殺しのライセンス」で、任務遂行中の判断で容疑者の殺人をしても咎められないという許可証。とんでもない許可証だ!たまに名前出てくるくらいだけど、006とか009とかもおりやす。

そんなジェームズ・ボンドの役者、「007」は50年近く続いているシリーズゆえに既に6代目なのだ。

1代目ボンド:ショーン・コネリー

2代目ボンド:ジョージ・レイゼンビー

1代目ボンド:ショーン・コネリー(再)

3代目ボンド:ロジャー・ムーア

4代目ボンド:ティモシー・ダルトン

5代目ボンド:ピアース・ブロスナン

6代目ボンド:ダニエル・クレイグ

まもなく公開の「007 スペクター」はダニエル・クレイグ版ボンドの4作品目に当たる。
それぞれのボンドで性格が結構違ったりする。特にダニエル版は人間性が溢れてて、とてもハードボイルド。

Daniel Craig stars as James Bond in Metro-Goldwyn-Mayer Pictures/Columbia Pictures/EON Productions’ action adventure SPECTRE.

また、ダニエル・クレイグ版ボンドのデビュー作である第21 作の「007 カジノ・ロワイヤル」は《原作小説で言うところの第1作目》に当たる。ゆえにリブートに近い。ジェームズ・ボンドが殺しのライセンスを手に入れて初めて人殺しをするところから始まるので入りやすいかも。それ以降の3作品は時系列を維持してる。

今回試写するにあたって時系列が繋がっているという話なので「007 カジノ・ロワイヤル」が公開してから10年近く経ってるし、せっかくだから試写の前夜から朝にかけて「007 カジノ・ロワイヤル」「007 慰めの報酬」「007 スカイフォール」まで復習した…けど、結論としては、観てなくも楽しめる!前3作品のキャラクターや名前は登場するけど、言ってしまえばそれぞれ過去のそれぞれの作品で決着していて、話が交差しているわけではないので問題ないのだ。もうひとつ次元が上の話というか。

「007 シリーズ」はジェームズ・ボンドのバトンタッチやそれぞれの持ち味を楽しむのも醍醐味!6代目ボンドがダニエル・クレイグに決まった頃、「金髪はボンドじゃない」だとか多くのバッシングを受けたらしいけど、最新作「007 スペクター」は既にイギリス歴代興行収入3位を塗り替えるという快挙。現在では圧倒的な人気を誇っております。

ロンドン五輪の開会式では「トレインスポッティング」のダニー・ボイル監督が芸術監督を担当し、ダニエル扮するジェームズ・ボンドが女王陛下を直々にお迎えにあがり会場までヘリコプターで登場するという演出も披露されましたよ。
>> James Bond and The Queen London 2012 Performance (オリンピック公式YouTube)

イギリス本国での「007 シリーズ」の人気が伺えますね!

2)ボンドガールとお馴染みのキャラクターたち

「007 シリーズ」ではボンドガールもお楽しみのひとつ。ボンドガールはジェームズ・ボンドをサポートしたり誘惑する美女です。「ルパン三世」で言うところの峰不二子みたいなもん。「007 スペクター」ではマドレーヌ・スワン(レア・セドゥ)とルチア・スキアラ(モニカ・ベルッチ)の2人のボンドガールが登場する。ボンドガールがシリーズで続投することはなく、新作が決まるたびに誰が出演するかが話題となります。ハル・ベリーみたいな大物女優が起用されることもありますが割りとフラットでグラマラスな女優に決まるイメージが強い。そして、敵役のガールフレンドがこっち側に寝返るパターンが多い気が(笑)

『007 スペクター』サブサブ3

『007 スペクター』サブサブ4

また、お馴染みのキャラクターたちも安心感を与える。
ジェームズ・ボンドの上司であるMI6長官のMや、研究開発のQ、Mの秘書のミス・マネーペニーなど。
もちろんこちらも第一作目から50年が経っているので役者が変動している。
基本的な役回りは毎回同じで、Mはボンドの自由奔放さに呆れてる一方厚い信頼を寄せていて、Qはボンドに後述するようなボンドカーやスパイグッズを提供して、ミス・マネーペニーはボンドに対して恋愛感情を持つがリップサービスのみでかわされてしまいます。基本的にはその役回りの繰り返しだけど、「007 スカイフォール」はM中心の話になっているので注意。

3)ボンドカーとガジェット(スパイグッズ)

秘密兵器開発主任のQが開発するスパイグッズも見もの。ダニエル版ボンドになってから出番無しだったQですが、前作の「007 スカイフォール」から再登場。ベン・ウィショー扮するQはシリーズの中でも最年少の35歳(2015年時点)だった。

『007 スペクター』サブサブ1

Qが開発するのは主に通称ボンドカーと呼ばれる特殊機能・装備付きの車や、腕時計や指輪型カメラなどのガジェット。ボンドカーと言えば近年は契約の関係もあってアストンマーチンのイメージが強い。時計もオメガと契約していて、今作にはちょっとしたギャグも。実際試写室では笑いがこぼれた。

Qは毎回ボンドに任務が終了して戻ってきたら返すように言うのですが、そんなことは絶対に無いというお決まりパターン。もはやどんだけ派手にやらかしてぶっ壊すのかが見どころなのだ。

ボンドカーは今までミサイル機能やら機関砲、光学迷彩機能やらシート射出の緊急脱出機能、まきびし、催涙ガスだとか潜水艦になったりととんでもない機能を披露してきた。新作はどんな車種でどんな機能が搭載されていのかもお楽しみポイント。今作のボンドカーは従来のファンを喜ばしてくれると思いました!歴代のボンドカー車種については下記の記事で詳しく載ってました。
>> 007最新作『Spectre』の公開前に【歴代ボンドカー28種総まとめ】 / イキなクルマで

その他のスパイグッズですが、ダニエル・クレイグ版のボンドになってから特殊グッズ感は薄め。スマートで実用的(笑)なガジェットになってきてはいるけど、「007 スペクター」でもしっかり登場しますよ。

007 スカイフォール」までの時点でボンドカーに搭載されたものも含めガジェットは193種類もあるとか。

4)世界を股にかけたド派手なアクション

「007 シリーズ」にはオープニングシークエンス(プロローグ)があって、事前説明なく悪っぽいやつらとのアクションから始まり一段落ついたところでオープニング映像に入る。よくある手法ではあるけど、これだけ長い長寿タイトルともなると毎回話題になる。「007 スペクター」はメキシコの「死者の日」というお祭りから物語が始まり、1500人以上ものエキストラが登場しボンドと敵が死闘を繰り広げ、初っ端から息を呑む展開だ。今回はかなり長いロングショット(映像のカットを変えずに長回しで物語を展開する手法)から始まり、すごいの一言。お祭りの空気感がとてつもなく伝わってくる。

また、世界各地で繰り広げるド派手(ときにはクール)なアクションも注目ポイント。今までも戦車に乗って建物に突っ込んだり、氷の上でカーチェイスを繰り広げたりしてきたけど、今回も思いっきしドンパチしております。「007 スペクター」のモロッコで撮影された大爆発シーンは映画史上世界最大規模としてギネス記録に認定されたそう。

Bond (Daniel Craig) following Marco Sciarra through the Dia de los Muertos procession in Metro-Goldwyn-Mayer Pictures/Columbia Pictures/EON Productions’ action adventure SPECTRE. Tolsa Square, Mexico City.

 

「007 スペクター」を観て思ったこと


上に挙げた以外にもお決まりの要素がいっぱい。あまりにも有名なガンバレル(銃口)から覗いた演出や、各作品で必ず出てくる「My name is Bond,James Bond」という台詞とか、ウォッカ・マティーニはステアじゃなくてシェイクだったり…そんなお決まり事を楽しみつつ毎回変わる物語を担当するのが「007 シリーズ」だなあって思う。

で、「007 スペクター」。今年1番楽しみにしていた作品だったからしっかりと復習して試写上映に向かった。観て思ったのは上にも書いたけど観てなくても全然楽しめるということ。この人はアイツの娘なんだ、とか、あの事件の裏ではこうなってたとか…知っていたほうが勿論理解度は上がるけど、知らないとわからないような部分はなかったように感じる。ただ四作品通してジェームズ・ボンドの成長や決意を描いている点があるから、グランドストーリーを抑えておくほうが感情移入度は格段に上がると思う。

そして、過去の作品よりもエンターテイメント作品寄りになっている印象。全体的にギャグも多いし、Qのガジェットもネタっぽさある。アクションシーンはゴリゴリなんだけどフィジカルな感じで決して無敵ではないっていうか。いや、すいません。無敵っぽさはあります。

権利の関係で頓挫してたスペクターを再び描くという点でもピアース・ブロスナン以前のファンの期待値高いのでは!あと、色んな人が言ってる通り、今作でダニエル・クレイグは引退してもいいんじゃないかなという話のまとまり方だった。

さて、今回まで残り僅か!上映開始したらもう一回行こうっと。

「007 スペクター」
11月27日(金)・28日(土)・29日(日)先行上映
12月4日(金)TOHOシネマズ日劇ほか全国公開
配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
Facebook: http://www.facebook.com/JamesBond007JP
Twitter: http://twitter.com/007movie_JP
公式サイト: http://www.007.com/spectre/
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Written by @Daisuke_Sato_